非常に多くの魅力的な返礼品がそろっているふるさと納税。たしかに豪華なお肉や海産物が返礼品として用意され、これらを実質2000円でもらえるのは大きなメリットです。
最近は「お得だからやらなきゃ損!」とばかりに、テレビやウェブメディアでこぞって特集されていますが、「本当にお得なことばかりなの?」「デメリットはないの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はあえて「ここはデメリットになるのではないか?」というポイントについて解説します。
目次
ふるさと納税高還元率返礼品ランキングTOP10
ふるさと納税で注目されるのが返礼品のお得さを表す指標「還元率」です。
還元率とは、寄付額に対する返礼品の通常販売価格(送料含む)の割合を計算したものです。還元率が高いほどお得な返礼品といえます。
ここでは全返礼品の中から、還元率が高いお得な返礼品をランキング形式で発表します。
ポータルサイト別にも比較できるので、好きなサイトがある方や、サイトでのポイントを集めている方などはぜひ総合ランキングだけでなく、各サイト別のランキングもご覧ください。
ふるさと納税の「デメリット」とは?
まず、ふるさと納税のメリットは何と言っても、実質2,000円の負担で、さまざまな地域の特産品が返礼品としてもらえるということですよね。
おいしいお酒や米、肉など、その地域の名産品が揃っています。
では、ふるさと納税にデメリットはないのでしょうか?そこで今回は「この点はデメリットに当たるかな?」という6つのポイントについて解説します。
② 控除される金額に上限がある
③ 確定申告をしないといけない
④ 寄付なので先に持ち出しが発生する
⑤ 寄付者本人名義のクレジットカードで決済しなければいけない
⑥ 自分の住んでいる自治体からの返礼品はもらえない
以下にてそれぞれ解説していきますね。
1. 減税や節税対策にはならない
「ふるさと納税すれば、税金が安くなるので節税対策になる」という話を聞いたことがあるという方もいるかもしれませんが、結論から言うとふるさと納税したからといって減税や節税対策にはなりません。
ふるさと納税で自治体に寄付をすると、寄付金のうち2,000円を超える部分について所得税や住民税から控除されますが、実際には翌年の税金を前払いで支払っていると同じなので支払い総額は変わりません。
その代わり、お礼の品として3割程度の返礼品がもらえるので、その商品分がプラスとして上乗せされます。ふるさと納税するだけで税金が減ると思っている方にはデメリットに感じるかもしれません。しかし、2000円の負担で返礼品をもらえるということを考えればトータルでプラスとも言えるかもしれません。
2. 控除される金額に上限がある
寄付金のうち、2,000円を除く全額が控除の対象になり、実質2,000円で特産品がもらえることばかりが報道されていますが、実は控除できる金額には上限があります。
控除上限額(限度額)の目安は、およそ住民税の1割程度になります。もちろん、住民税の額が多くなれば多くなるほど限度額は上がっていきますので、年収が高くなることでよりお得になる制度になります。
例えば現行制度上、年収500万円の独身の方の場合、控除額は約61,000円になります。
年収 | 独身または共働き | 夫婦 | 共働き+子ども1人 (高校生) |
共働き+子ども1人 (大学生) |
夫婦+子ども1人 (高校生) |
共働き+子ども2人 (大学生と高校生) |
夫婦+子ども2人 (大学生と高校生) |
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 19,000円 | 15,000円 | 11,000円 | 7,000円 | - |
325万円 | 31,000円 | 23,000円 | 23,000円 | 18,000円 | 14,000円 | 10,000円 | 3,000円 |
350万円 | 34,000円 | 26,000円 | 26,000円 | 22,000円 | 18,000円 | 13,000円 | 5,000円 |
375万円 | 38,000円 | 29,000円 | 29,000円 | 25,000円 | 21,000円 | 17,000円 | 8,000円 |
400万円 | 42,000円 | 33,000円 | 33,000円 | 29,000円 | 25,000円 | 21,000円 | 12,000円 |
425万円 | 45,000円 | 37,000円 | 37,000円 | 33,000円 | 29,000円 | 24,000円 | 16,000円 |
450万円 | 52,000円 | 41,000円 | 41,000円 | 37,000円 | 33,000円 | 28,000円 | 20,000円 |
475万円 | 56,000円 | 45,000円 | 45,000円 | 40,000円 | 36,000円 | 32,000円 | 24,000円 |
500万円 | 61,000円 | 49,000円 | 49,000円 | 44,000円 | 40,000円 | 36,000円 | 28,000円 |
525万円 | 65,000円 | 56,000円 | 56,000円 | 49,000円 | 44,000円 | 40,000円 | 31,000円 |
550万円 | 69,000円 | 60,000円 | 60,000円 | 57,000円 | 48,000円 | 44,000円 | 35,000円 |
575万円 | 73,000円 | 64,000円 | 64,000円 | 61,000円 | 56,000円 | 48,000円 | 39,000円 |
600万円 | 77,000円 | 69,000円 | 69,000円 | 66,000円 | 60,000円 | 57,000円 | 43,000円 |
625万円 | 81,000円 | 73,000円 | 73,000円 | 70,000円 | 64,000円 | 61,000円 | 48,000円 |
650万円 | 97,000円 | 77,000円 | 77,000円 | 74,000円 | 68,000円 | 65,000円 | 53,000円 |
675万円 | 102,000円 | 81,000円 | 81,000円 | 78,000円 | 73,000円 | 70,000円 | 62,000円 |
700万円 | 108,000円 | 86,000円 | 86,000円 | 83,000円 | 78,000円 | 75,000円 | 66,000円 |
725万円 | 113,000円 | 104,000円 | 104,000円 | 88,000円 | 82,000円 | 79,000円 | 71,000円 |
750万円 | 118,000円 | 109,000円 | 109,000円 | 106,000円 | 87,000円 | 84,000円 | 76,000円 |
775万円 | 124,000円 | 114,000円 | 114,000円 | 111,000円 | 105,000円 | 89,000円 | 80,000円 |
800万円 | 129,000円 | 120,000円 | 120,000円 | 116,000円 | 110,000円 | 107,000円 | 85,000円 |
825万円 | 135,000円 | 125,000円 | 125,000円 | 122,000円 | 116,000円 | 112,000円 | 90,000円 |
850万円 | 140,000円 | 131,000円 | 131,000円 | 127,000円 | 121,000円 | 118,000円 | 108,000円 |
875万円 | 146,000円 | 137,000円 | 136,000円 | 132,000円 | 126,000円 | 123,000円 | 114,000円 |
900万円 | 152,000円 | 143,000円 | 141,000円 | 138,000円 | 132,000円 | 128,000円 | 119,000円 |
925万円 | 159,000円 | 150,000円 | 148,000円 | 144,000円 | 138,000円 | 135,000円 | 125,000円 |
950万円 | 166,000円 | 157,000円 | 154,000円 | 150,000円 | 144,000円 | 141,000円 | 131,000円 |
975万円 | 173,000円 | 164,000円 | 160,000円 | 157,000円 | 151,000円 | 147,000円 | 138,000円 |
1000万円 | 180,000円 | 171,000円 | 166,000円 | 163,000円 | 157,000円 | 153,000円 | 144,000円 |
もちろん、扶養家族がいたり住宅ローンなどがあると支払う住民税の額は変わりますので、一概にこうだとは言えませんが、ひとつの目安にはなるかと思います。
ふるさと納税の恩恵を十分に受けるには自らの年収に応じた寄付をする必要があります。誰もがいくら寄付をしても2,000円の負担でいいというわけではないことは忘れがちなところ。寄付をする際にはお気を付けください。
詳しく控除上限額(限度額)を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
3. 確定申告をしないといけない
ふたつ目のデメリットは、「確定申告をしないといけない」ということです。
サラリーマンであれば税金の計算や手続きというのは会社が全て行ってくれますのでわざわざ確定申告をする必要がありません。以前はふるさと納税を行うと控除を受けるために、確定申告をする必要がありました。
ただ、2015年の4月から制度が改正になり、いくつか条件はあるものの、確定申告をする必要がなく控除を受けることができるようになりました。
これまで確定申告が面倒だと思って二の足を踏んでいた方でもめんどくさい作業をする必要がなくなるという点では、非常に良い制度改正が行われたことになります。
この制度が「ワンストップ特例制度」です。
ワンストップ特例制度を適用したい場合、ふるさと納税を行う自治体からワンストップ特例制度を適用するための用紙が送られてきます。
確定申告の代わりにその用紙に記入し自治体へ郵送する必要はありますが、記入自体はそんなに面倒なものではありませんので、特段問題にはならないかと思います。
ワンストップ特例制度の適用条件ですが、5自治体以内の寄付であり、かつ、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告を行わない方になります。
ワンストップ特例制度について詳しく知りたい方はこちらから↓↓
4. 寄付なので先に持ち出しが発生する
これも意識されていないかもしれませんが、ふるさと納税は寄付なので、控除されるといっても、一時的な持ち出しが発生します。
仮に4月にワンストップ特例制度を適用してふるさと納税を行った場合、所得税からの控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で控除が行われます。
あまり多くはいないかもしれませんが「どうしても先に持ち出しが発生するのは嫌だ」という方にとってはデメリットになりえるのかなと思います。
5. 寄付者本人名義のクレジットカードで決済しなければいけない
ふるさと納税の控除を受けるには、寄付者本人名義のクレジットカードで決済しないと、税金の控除を受けることができません。
たとえば「妻が夫名義のカードで寄付する」といった場合など、家族でふるさと納税をする場合は、注意が必要です。
6. 自分の住んでいる自治体からの返礼品はもらえない
自分の住んでいる自治体に寄付をしたい場合、ふるさと納税自体は可能ですが、返礼品を受け取ることはできません。これも注意すべきポイント。
「自分の住んでいる自治体の返礼品にたまたま近所のレストランのお食事券があったので申し込んだのに受け取れなかった」というケースもあるようなので、お気を付けください。
ふるさと納税すれば保育園の保育料を安くできる?
こちらも気になっている方多いのではないでしょうか?
保育園の保育料は住民税のうち市町村民税や特別区民税の所得割の税額控除前の金額が算定基準になります。
ふるさと納税は、住民税では税額控除、所得税では所得控除の対象となっているため、ふるさと納税は、保育料の増減には関係しません。
ふるさと納税の「メリット」とは?
デメリットは分かったけど、じゃあふるさと納税のメリットって何?と思っている方、ふるさと納税のメリットには下記のような事があげられます。
② 住民税や所得税などの税金が控除される
③ Amazonギフト券やマイルなどのポイントがもらえる
よくある質問
Q. ふるさと納税のデメリットってあるの?
A. ふるさと納税は節税になると言われていますが、実は減税や節税対策にはなりません。こちらでも説明していますが、実際に翌年納付する税金を前もって納付しているのと変わらないので節税にはなっていません。その代わり、お礼の品がもらえるのでその分お得になります。
Q. ふるさと納税するにあたって気を付けることは?
A. 自分が寄付できる控除上限額(限度額)をきちんと把握することです。限度額を超えた分の寄付をしても、翌年の住民税や所得税から控除されないので、お得ではなくなってしまいます。
Q. ふるさと納税で損することってあるの?
A. ふるさと納税した後は、必ずワンストップ特例制度の申請か確定申告をする必要があります。忘れてしまうと、住民税や所得税が控除されないこととなってしまうので注意してください。
まとめ
総括ですが、控除上限額があることや、手続き上やらなければいけない作業はどうしても発生してしまいます。
もちろん、特産品を選ぶということも沢山種類がある中から選ぶということで、意外と面倒な作業だったりします。
ただそういったことを行うだけで、得できるというわけですからやらなきゃ損というのは本当ですね。
ふるさと納税を行う際は、こちらでご紹介をしたデメリットを頭にいれつつ寄付を行っていただければいいのではないかと思います。
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ふるさと納税を行う前に3点を確認
「寄付する自治体も決まったし、お礼の品も選んだし、さっそくふるさと納税を申し込もう!」と思った方。ちょっとお待ちください!
自治体に申し込みをする前に次の3点を確認しておきましょう。
【その1】年収や家族構成によって控除上限額(限度額)が決まっています
「ふるさと納税がお得なら、たくさん寄付したい!」と思う方もいるかもしれません。しかし、ふるさと納税で寄付できる金額は、あなたの年収や家族構成などによって決まってきます。というのも、ふるさと納税はご自身が納めた税金の一部が控除されて戻ってくるという仕組みだからです。所得によって納める税金の金額が決まるように、ふるさと納税の控除金額もその税金に比例して上限が決まります。
たとえば、年収400万円の独身者または共働きの人は43,000円まで寄付が可能で、自己負担2,000円を引いた41,000円が、翌年に所得税と住民税から還付・控除されます。年収700万円の夫婦(配偶者控除あり)なら、控除上限額は85,000円です。
控除限度額は「ふるさとチョイス 還付・控除限度額計算シミュレーション」や「さとふる限度額計算ページ」から調べることができます。
【その2】ふるさと納税の申込期限は12月31日まで
ふるさと納税の申込自体は一年中いつでも可能です。ただし、1月1日~12月31日の間に寄付した金額から所得税・住民税が還付・控除されますので、税金控除を考えている方は毎年12月31日までに寄付申込を済ませる必要があります。
また、ワンストップ特例制度を利用する方は、翌年1月10日までに各自治体へ申請書を送付してください。
【その3】寄付しただけでは税金は控除されません
ふるさと納税で寄付を申し込んで終わりではありません。年度末に確定申告をして税金控除を申請します。
適用条件を満たせば確定申告の代わりに「ワンストップ特例制度」が利用できます。寄付時に「申請書を希望する」旨の項目にチェックを入れると、後日、自治体から申請書が送られてきます。必要事項を記入し、翌年1月10日までに各自治体へ申請書を送付するだけですので、手続きは簡単です。
<ワンストップ特例制度の適用条件>
- 確定申告をする必要のない給与所得者等であること
自営業の方や年収2,000万円を超える所得者、医療費控除等で確定申告が必要な場合は、確定申告で寄付金控除を申請してください。 - 1年間の寄付先が5自治体以内であること
1つの自治体に複数回寄付をしても、1自治体としてカウントされます。 - 自治体へ申請書を郵送すること
1つの自治体に複数回寄付した場合は、寄付した回数分の申請書を提出してください。
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監修者
監修:坂根正哉
focAs会計事務所&労務事務所 代表税理士、資格の学校TAC 非常勤講師(税理士試験 法人税法)
2010年に明治大学を卒業。TAC株式会社に非常勤講師として入社し、二足の草鞋で都内の税理士事務所に勤務。2013年に税理士試験合格。2017年に開業税理士として登録。現在は、クラウド会計に特化した会計&労務事務所を東京と福岡の2拠点で展開している。
ふるさと納税専門家エリ
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