ふるさと納税の寄付をすると、税金の控除を受けることができます。しかし、年末調整の書類には支払った生命保険料などを記入する欄がありますが、ふるさと納税の寄付金額について記入する欄がないため、迷っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ふるさと納税の寄付をした場合の年末調整の手続きや、控除を受けるための申請方法等について解説していきます。ふるさと納税の控除を受けるためには、申請が必要です。今年寄付をしてまだ手続きをしていない人や、これから寄付をする予定の人は、損をしないようぜひチェックしてください。
目次
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄付をする仕組みのことをいいます。
子どもたちは、教育や医療など自治体から様々な支援を受けて育ちます。しかし、多くの人は大人になって都会に出て行って就職し、そこで納税するため、地方に税金を納める人が少なくなっています。そこで、税収が減っている地方を救済するために生まれ育ったふるさとにも納税(寄付)をしようという目的で、ふるさと納税の制度が作られました。
ただし、ふるさと納税で寄付をする自治体は、必ずしもふるさとである必要はありません。多くの人が、自分が欲しい返礼品を提供している自治体を選んで寄付をしています。
ふるさと納税で控除される税金
ふるさと納税で自治体に寄付をして申請すると、寄付をした金額のうち2,000円を超えた金額分の所得税(もしくは住民税)が控除されます。どちらの税金が控除されるかはふるさと納税の申請方法によって決まり、いずれの場合も控除金額は同額ですが、控除されるタイミングなどが異なります。
<ふるさと納税で控除されるタイミング>
– 住民税の場合:寄付をした翌年の住民税から控除されます。翌年納付する住民税が減額されます。
ふるさと納税の申請方法
ふるさと納税の寄付をして控除を受けるためには、申請が必要です(申請していない場合は税金は控除されません)。申請方法は、以下の2種類があります。
<ふるさと納税の2つの申請方法>
– ワンストップ特例
元来、ふるさと納税の寄付をした場合には確定申告で申請する必要があります。しかし確定申告の手続きは負担が大きいため、ふるさと納税の浸透を目的として簡易的な手続き方法が導入されました。それが、ワンストップ特例です。ワンストップ特例を利用すれば、簡単な申請手続きでふるさと納税の控除を受けることができます。
年末調整とは?
年末調整とは、会社員などの人がその年(1月から12月)に納めるべき税金を計算し、源泉徴収などで納めた金額と照らし合わせて過不足を調整する手続きのことをいいます。
年末調整の手続き書類は勤務している会社を通じて税務署に提出ことになっており、その提出期限は翌年の1月31日です。ただし、事務処理の都合で会社が締め切りを設けていることが多く、その締め切り日は会社によって異なります。
年末調整をする理由
所得税は、1年間(1月から12月)の所得に対して課税されるため、年間所得金額が確定してはじめて正確な金額が決まります。会社員などの人は給与や賞与を受け取る際に所得税が源泉徴収されていますが、これはその月の給与や賞与の金額をベースに概算で出したものなので、最終的に確定する所得税額とは一致しておらず、過不足が出てしまいます。年末調整は、その過不足を調整するために行います。
一般的な会社員で他に特別な控除などがない場合は、正しい所得税額より多く源泉徴収されていることが多く、その差額は12月や1月などの給与振込の際に還付されることが多いです。
年末調整で控除できるもの・できないもの
会社員などの人に適用される控除は14種類あり、その中には年末調整で控除できるものとできないものがあります。年末調整で控除できるものには、基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、生命保険料控除などがあり、年末調整の申告書にそれらの項目について記入して申請することで年末調整の控除を受けることが可能になります。
一方で、寄付金控除(ふるさと納税を含む)、医療費控除、住宅借入金等特別控除(1年目)、雑損控除などは年末調整の対象外になっており、これらの控除を受けたい場合は確定申告などの手続きが必要です。
ふるさと納税は年末調整で申請が必要?
上述の通り、ふるさと納税を含む寄付金控除は年末調整の対象外になっており、申告書類にも該当する欄はありません。よって、ふるさと納税は年末調整での申請は不要です。
ふるさと納税の申請方法
ふるさと納税の申請は、次のいずれかの方法で行います。
– ワンストップ特例
それぞれの申請方法を見てみましょう。
ふるさと納税の確定申告方法
ふるさと納税の控除のために確定申告をする場合は、次の手順で行います。
2.ふるさと納税の返礼品が届いたら、同梱または別送で届く「寄付金受領証明書」を確認し、大切に保管しておく。
3.確定申告の書類を揃え、翌年2月から3月の確定申告期間中に税務署に提出する。
ふるさと納税の確定申告方法は、こちらのページで解説しています。必要書類や注意事項などについても詳しく解説されているので、ぜひチェックしておいてください。なお、2022年の確定申告期間は2月16日から3月15日です。
ふるさと納税のワンストップ特例申請
次の2つの条件を満たす人は、ワンストップ特例を利用することができます。
<ワンストップ特例の利用要件>
– ふるさと納税先が5自治体以内で、確定申告を行わないこと
※ふるさと納税先は5自治体以内と決まっていますが、1つの自治体に複数回寄付をしても1自治体と計算されます。
ワンストップ特例での申請方法は、以下の通りです。確定申告より簡単な方法でふるさと納税の申請ができるので、確定申告が不要な給与所得者等にあてはまる人は、ふるさと納税先を5自治体以内におさめてワンストップ特例を利用するのがおすすめです。
2.ふるさと納税の返礼品が届いたら、同梱または別送で届く「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に記入し、指定の添付書類を添えて自治体に返送する。なお、申請書は総務省ホームページなどでダウンロードすることも可能です。
3.「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の控えが届いたら、内容を確認して大切に保管しておく。
ワンストップ特例の申請には期限が設けられており、2022年の期限は1月10日(自治体必着)です。ふるさと納税の申し込みを年末に行った場合は期限までの期間が短いため、できるだけ早く申請書類を返送しましょう。
ワンストップ特例については、こちらのページで詳しく解説しています。
【その他】ふるさと納税を行う前に3点をチェック!
「寄付する自治体も決まったし、お礼の品も選んだし、さっそくふるさと納税を申し込むぞ!」と思った方。ちょっとお待ちください!自治体に申し込みをする前に次の3点を確認しておきましょう。
【その1】年収や家族構成によって寄付上限金額が決まっています
「ふるさと納税がお得なら、たくさん寄付したい!」と思う方もいるかもしれません。しかし、お得にふるさと納税で寄付できる金額は、あなたの年収や家族構成などによって決まってきます。というのも、ふるさと納税はご自身が納めた税金の一部が控除されて戻ってくるという仕組みだからです。所得によって納める税金の金額が決まるように、ふるさと納税の控除金額もその税金に比例して上限が決まります。
たとえば、年収400万円の独身者または共働きの人は43,000円までの寄付であれば自己負担2,000円を引いた41,000円が、翌年に所得税と住民税から還付・控除されます。共働きでない年収700万円の夫婦(配偶者控除あり)なら、控除上限金額は85,000円です。
控除限度額は「ふるさとチョイス 還付・控除限度額計算シミュレーション」や「さとふる限度額計算ページ」から調べることができます。
【その2】翌年控除を受けるためには、今年の12月31日までに寄付しましょう
ふるさと納税の申込自体は一年中いつでも可能です。ただし、翌年(2023年)の所得税・住民税の還付・控除を受けるためには今年(2022年)の12月31日までに寄付申込を済ませる必要があります。
また、ワンストップ特例制度を利用する方は、2023年1月10日までに各自治体へ申請書を送付してください。
【その3】寄付しただけでは税金は控除されません
ふるさと納税で寄付を申し込んで終わりではありません。年度末に確定申告をして税金控除を申請します。
適用条件を満たせば確定申告の代わりに「ワンストップ特例制度」が利用できます。寄付時に「申請書を希望する」旨の項目にチェックを入れると、後日、自治体から申請書が送られてきます。必要事項を記入し、2023年1月10日までに各自治体へ申請書を送付するだけですので、手続きは簡単です。
<ワンストップ特例制度の適用条件>
- 確定申告をする必要のない給与所得者等であること
自営業の方や年収2,000万円を超える所得者、医療費控除等で確定申告が必要な場合は、確定申告で寄付金控除を申請してください。 - 1年間の寄付先が5自治体以内であること
1つの自治体に複数回寄付をしても、1自治体としてカウントされます。 - 自治体へ申請書を郵送すること
1つの自治体に複数回寄付した場合は、寄付した回数分の申請書を提出してください。
まとめ
ふるさと納税の寄付をした場合の年末調整について解説しました。
ふるさと納税は年末調整の対象外になっているため年末調整では控除の手続きができず、確定申告またはワンストップ特例での申請が必要です。損をしないよう、期間内に申請しましょう。
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ふるさと納税専門家エリ
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